キッチンほど、住まい手の個性により変わるスペースはありません。
食の中心であるキッチンは、住宅でももっとも大切な場所です。
設備や仕上げ、広さ、動線など、希望を叶える、居心地の良い、使い勝手の良いキッチンをつくりたい。
それには、建て主の方との繰り返しの対話が大切だと感じています。
この住宅は、奥様のお気に入りのキッチンメーカーCUCINAを使いたいという要望と
夫婦2人で食をつくるというのが、設計の大きなポイントでした。
一般的には、80㎝とする通路幅をより大きく確保し、アイランド型の収納兼作業スペースを設置したのが特徴です。
壁は奥様と選定したタイルを採用し、ステンレス製の棒を1本設置しました。
ここを訪れたご友人が、「まるでショールームみたい!」とおっしゃったようですが、
私には、使っているのに物が散らかっていない状況の方が驚きました。
聞けば、収納を適材適所に配置したおかげで、ものが片付いてしまうということでした。
キッチンに立って料理をするのが楽しくなったという奥様の感想を聞いて、
竣工までの苦労が一気に吹き飛びました。