ある別荘建築の初めてのプレゼンテーションで作成した模型です。
打合せ前日の晩遅くに屋根形状の変更が決まり、泣く泣く屋根を解体して作り直し始めたのは、打合せの6時間前でした。模型製作のいつものアルバイトも手配できず、自分で作る羽目になり、模型がなくても良いんじゃないかと半ば泣きべそをかきながら突貫工事で間に合わせました。
建て主が打合せに来て、挨拶もそぞろに一番に吸い込まれたのが、この模型でした。平面図や断面図、コンセプトの文章などたくさんの資料も用意しましたが、一番説得力があったのは、模型だったようです。
新型コロナ感染拡大に伴い、リモートによる打合せが多くなってきましたが、対面による、模型を提示しながらの打合せは、やはり説得力が違うと感じます。そういえば遠い昔、イタリアのミラノ工科大学の授業で、コミュニケーションもろくにできない時、模型と図面が助けてくれたことを思い出しました。模型は我々の代わりに、饒舌に語ってくれるのです。