寄棟屋根の軒線が作り出す水平な陰影によって、住宅は美しい外観を形成します。
その深い庇によって、夏は強烈な直射日光が遮られ、冬は室内に温かい日差しを導き入れます。
また、外壁を雨から守ってくれる役割も担っています。寄棟は我が国の自然環境に対応し、
快適な室内環境を生み出してくれる屋根形式のひとつです。
しかし、寄棟は、これまでの設計で避けていた屋根形状でした。
なぜなら、住宅メーカーのデザインに似てしまうという先入観があったからでした。
ところが、書店で見つけた一冊の本『雨仕舞いの名デザイン』(堀啓二著)によって、
寄棟屋根の可能性を再認識させられました。
本には、積極的な雨仕舞いのデザインによる美しい建物の数々がていねいに紹介されています。
写真は、ある週末住宅のモデルプランです。
バルコニーの水平ラインと1階屋根の軒線をそろえることで、きれいな陰影が形成されています。
つまらぬ先入観を捨てて、寄棟屋根を持つ美しい住宅つくりにも取り組んでいこうと考えています。