名護に残るビンテージ建築「白浜ホテル」

「フランスで古い建物を大切に使い続ける精神を培ったので、築50年のこの建物を自分流にアレンジしながら使ってます」とは、ホテルオーナーの鈴木斎(いつき)氏の言葉です。
人生の半分以上を海外で暮らしてきたという彼女は、どこか日本人離れした感性の持ち主でした。
フランスでシェフをしていたという料理の腕前で、朝食はひとりで切り盛りしています。

沖縄県の名護市にある「白浜ホテル」は、現存する名護のホテルで一番の老舗です。
ホテル名の「白浜」は、当時、ホテルの裏側に白浜が広がっていたところから命名されました。
あいにく70年代に埋め立てられて、現在、ホテルの前は大きな運動場とバイパスの道路が通ります。
しかし、古民家の風情のある外観は、創業当時からほとんどそのままの状態で維持されています。

内装は、畳をはがし大きくリノベーションを行いました。
かつての階段はバーカウンターに改造され、上部には大きな吹抜が残っています。
エントランスホールには、アンティークな家具や調度品が置かれ、観葉植物があふれています。
すっかり異国のリゾートホテルのような印象です。
一方、客室の浴槽は、あえて玉砂利タイルをそのままにして、創業当時の趣が残されています。

写真は、エントランスホールの様子です。
豪華な調度品や贅沢なスペースがあるわけでは無いのに、なぜか豊かな幸せな気分になる空間です。
爽やかな風が通り抜け、しばらく忘れかけていた幸せな感覚を思い出しました。
機能的で画一的なホテルでは,けっして感じられない豊かな時間。
もう一度、じっくりと滞在してみたくなるホテルでした。

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